小型船舶免許の実技試験で押さえるコツ

導入:実技試験の全体像

小型船舶操縦士(1級・2級)の実技試験は、出航前点検、離岸・着岸、基本操船、救助(落水者対応)、ロープワークなどで構成され、減点方式で評価されます。安全確認の徹底、正確な操作が合否を左右します。本記事では、試験の流れに沿って重要ポイントを整理し、離岸・着岸、ロープワーク(結索)、人命救助、変針・蛇行運転、エンジン点検のコツを中心に解説します。

出航前点検のコツ(エンジン点検を含む)

出航前点検は安全確保と減点回避の第一歩です。順序立てて実施し、指差し呼称で確実性を示します。

  • 船体・装備品:損傷の有無、使用可能状態、使用期限、可動状況などを確認しましょう。
  • エンジン:専門の整備士ではなく、ユーザー自身でできる燃料系統、電気系統等を確認しましょう。

離岸の要点

離岸は「準備→解放→最小速力で離れる→安全圏で体勢を整える」が基本。

  • 風上・風下の判断:風下側は桟橋に吸い寄せられやすく船尾が桟橋に接触する危険があるので前進での離岸はやめたほうが無難です。
  • 安全確認:離岸直前・直後に360度見張り、周囲船舶の動静を確認。また桟橋際は遊泳者や流木等の障害物の有無を確認しましょう。離れ際に船体を桟橋に接触させないように。

基本操船(直進保持・変針・蛇行・旋回)

試験では正確なコース取りと速度管理が評価されます。

  • 直進保持:遠方の目標(建物の角、山の稜線など)を取って蛇行を抑える。舵は小さく短く、当て戻しを素早く。
  • 変針:事前に安全を確認し→小舵→当て戻し。大舵で過度に振るのはよくありません。
  • 蛇行運転:等間隔・等角度でS字を描く。速度は滑走状態で。前後左右対称を意識。
  • 波・引き波:斜めに受けると船体安定。大きな引き波には速度を落とし、船首を少し立てる。

コツ:「切る量」より「戻すタイミング」。舵を切った分だけ早めに戻すと針路が安定します。

人命救助(落水者対応)の手順

人命救助課目は配点が高く、手順の正確さが重要です。

  • 接近方針:風下からのアプローチが基本。風波を利用する。どちらの舷で救助するのが得策か判断しましょう。
  • 進入速度:微速で接近し、2〜3艇身手前でニュートラル。最終接近は惰性。
  • エンジン中立:救助直前に必ずエンジン中立(プロペラ停止/実際の人命救助ではエンジンを停止する場合もある)。安全確保を強調。要救助者に強く接触しないように。
  • 救助動作:手が届かない場合はボートフックで確保、体勢を低く保たせて引き上げ。2次災害(救助者の落水)にならないように

コツ:初動で風向・潮流を即確認し、ドリフト(風下へ流されること)を計算してやや手前に狙いを置く。確実にエンジンを中立にする。

着岸の要点(接近角度・惰性の使い方)

着岸は最小速力と角度管理が鍵。

  • 進入角度:一般に20〜30度で桟橋へ接近。風下着岸では船首をやや風上に向け、横流れを相殺。
  • 速度管理:最後は惰性で寄せる。桟橋1艇身手前でニュートラル、当て舵と一瞬の後進で船体の横移動を抑制。1軸右回り船は左舷着岸のほうが桟橋に寄せやすい。
  • 安全確認:接近中は常に見張り、後進を使用して惰力を殺す。身体で止めようとしない。

コツ:「止める」のではなく「止まるように仕向ける」。惰性と一瞬の当て後進で船の余分な動きを消す。ただしバックしないように。

ロープワーク(結索)

試験でのロープワークは正確さが重要です。

  • クリート止め:ロープをクリートの根元に1周、X字にかけ、最後はハーフヒッチで止める。係留でやります。余りはコイルして投棄しない。
  • もやい結び、巻き結び、錨結び、一重・二重結びを正確に結べるように。結び方は問いません。

よくある減点と対策

  • 安全確認・見張り不足:発進、増減速・変針前・接近前に。
  • 速度超過:微速と高速の回転数を厳守。
  • 舵の切りすぎ:小舵+当て戻し。大舵は蛇行の原因。
  • トラブルシューティング:ユーザーが行えるチェックの理解。

試験当日の準備とメンタル

  • チェックリスト:トラブルシューティングの内容を復習し、ロープワークは練習しておくこと。
  • シミュレーション:着岸の舵とリモコンレバー操作を部屋の壁を桟橋に見立てて歩きながら手順を繰り返すと効果的です。
  • 風と潮の把握:現地到着後に必ず風向・風速、潮汐表を確認。
  • 体調管理:寒暖差・日射・酔い対策。水分と日焼け対策を忘れない。
  • 冷静さ:ミスをしても手順に戻る。操縦技術よりも安全優先。あせって安全確認をおろそかにした操縦を行うと評価が悪くなります。

まとめ

小型船舶の実技試験では、離岸・着岸、基本操船、人命救助、ロープワーク、点検等が評価されます。結索やトラブルシューティングなど事前に準備できるものはしっかりと復習しておくこと。落ち着いて安全面を優先した操縦を実施すれば、減点を最小化して合格に近づけます。

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